スキップしてメイン コンテンツに移動

投稿

2月, 2025の投稿を表示しています

【昔話】エブリデイ・マジックに憧れて

昔ばなしを少しします。 小さい頃の僕は、遠くに浮かぶ大きな夏の雲にはラピュタがあると信じてたし、虹の麓には財宝がたくさんあると聞いて探検に出たりもしました(迷子になってしまって母が迎えに来たのを今でも覚えています)。草っぱらに踏み入ってトトロの住処へつながるトンネルを探したりして、なんだかとても心が豊かな子供だったように感じます。 それから成長して小学生になったとき、学級文庫に置かれていた星新一を読みました。それは宇宙が生まれるぐらいの衝撃を僕に与えました。僕はそこで初めて小説というのを思い知って、SFというものを知りました。 僕は特段国語ができるわけでも文才があるわけでもありませんが、それでも本を読むのが好きなのは、あのどこか退廃的で近未来的で、わずかに切ないあのショートショートを読んだからだと思っています。 中学生になった僕は担任のY先生が持ってきた学級文庫が宝の山のように感じました。Y先生は所謂オタクで学級文庫にラノベを山ほど置く方だったのです(涼宮ハルヒの憂鬱、バカとテストと召喚獣、ベン・トー、俺ガイル...etc)。今思うと全て一巻しか置かれていなったので初心者にやさしいタイプのオタクだったんだと思います…。 僕はその学級文庫に置かれていた森見登美彦さんの「ペンギン・ハイウェイ」を読みました。児童文学以外にはライトノベルしか読んだことが無かった自分にとって、あの純粋な長編SFもとい青春ジュブナイル小説は今も忘れられない憧れになりました。生まれて初めてその小説の世界に入り込みたいと思いました。あの世界のお姉さんや僕にとって、何気ない日常の、名前も無いようなモブでもいいからなりたいと神様に心から祈ってしまったほどに、憧れでした。 僕はそれからだんだんと本を読むようになりました。有名作を読もうと太宰治を手に取り、「人間失格」のなんとも言えない虚しさにやられ、今度はもう少し読みやすい最近の小説を読もうと「かがみの孤城」や「52ヘルツのくじらたち」「推し、燃ゆ」「告白」など本屋大賞や文学賞の受賞作を一心不乱に読み漁り、そこからまたラノベにはまり出して…という感じでブラブラと本を読み、そして今に至ります。 結局僕は本を深く読むことも沢山考えながら読むこともできませんが、それでも文字から香ってくる、僕らの日常と似て非なるワクワクドキドキのつまった空想の匂いだけでも楽しい...