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良い本

  今日は2週間ぶりにランニングをした。少し疲れた気がする。  小学生の頃は運動がてんで駄目で50mを走り切るのに20秒近くかかっていた。小学から中学まで続けた野球のおかげで、外れ値にはならないくらいには動けるようになったけれど、今でもたまに自分の足の遅さが嫌になる。思い通りに体を動かせたらどれだけ心地いいんだろう…と頻繁に妄想する。  僕はそもそも妄想するのが好きだ。頭の中の世界はいつだって僕の居場所にだった。そこでは際限なく幸せになれるし、際限なく悲しくも寂しくもなれる。ドラゴンを出せたり、何処かの国のお姫様になったり、世界を動かす政治家にもなれた。売れない小説家の満たされなさに満ちた半生を想像するのがお気に入りだった。現実での僕の満たされなさも小説家からすればきっと幸福だったのかもしれない。そういう事を考える度に少しずつ何かが報われている気がする。分かり合えなさを理解している気がする。  僕にとっての「良い本」っていうのはそういうものなんだと思う。良い本って一口に言っても、その良いの種類は沢山あるだろう。僕が好きな良い本は読んでる時に走っているような感覚になれる本。風を切っているような感覚になれる本。ワクワクでもドキドキでも物悲しくたって構わないけど、息切れしてる感覚になれる本が好きだ。蓋しそれは僕の空想癖の性癖に似た部分と少しだけ共通点を持っているからだと思う。